WHOの新しい補完食ガイドライン 推奨事項②生後6-23ヶ月のミルク育児について 翻訳と解説

 本当は背景部分を先に書いた方がいいんですが、多分ここを知りたい人が多いと思うので、推奨事項部分から翻訳しておきます。翻訳中には入れていませんが、参考文献の数字が入ってます。(それぞれの推奨事項にはもっと詳しい解説が書かれているのですが、こちらの翻訳はかなり手こずるのでとりあえず概要部分だけ翻訳していきます。)


翻訳

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推奨事項②

a. 生後6~11ヵ月の乳児:母乳以外のミルクを与えられている生後6~11ヵ月の乳児には、粉ミルクまたは動物性ミルクを与えることができます(条件付き、確実性の低い証拠)。

b. 生後12~23ヵ月の乳児:母乳以外のミルクを与えられている生後12~23ヵ月の幼児には、動物性ミルクを与えるべきです。フォローアップミルクは推奨されません(条件付き、確実性の低い証拠)


備考

- 液状の動物性ミルクを含む乳製品は、多様な食事の一部であり、栄養の充足に寄与する可能性があります(推奨事項4aも参照)。他の動物性食品(ASF)が入手できない場合、乳製品は母乳栄養でない子どもにとって特に重要です。

- 使用できる動物性ミルクの種類には、低温殺菌動物性ミルク、再構成エバミルク(コンデンスミルクは不可)、発酵乳、ヨーグルトなどがあります。

- フレーバーミルクや加糖ミルクは使用してはいけません。

- 生後6~11ヵ月の乳児に動物性ミルクを与える場合は、全脂肪乳を使用すべきです。

- 動物性ミルクの安全な保管および取り扱い方法に従ってください。


(訳者註:再構成エバミルクってなんやねんと思われたと思うんですが、いい翻訳がわからなくてすみません。reconstituted evaporated milkですね。無糖練乳のことです。その中でも牛乳と同じ構成に調整されたもののことを指すようですが、日本にはないかも。)

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解説

ここは、乳児用ミルク(粉ミルク・液体ミルク)を使っている方への推奨事項になります。混合栄養の方も対象ですね。

6-11ヶ月は乳児用ミルクもしくは動物性ミルクを与えることができると書かれています。動物性ミルクはWHOのガイドラインでの定義上、牛乳だけでなく、ヤギ乳やラクダ乳なども含みます(広い!)。
さて、生後12ヶ月前には牛乳を与えないことを書かれている離乳食の本が多いです。こちらでも乳児期の牛乳に関しては、"消化管出血と鉄欠乏性貧血(IDA)、それから腎臓の溶質負荷の増加とも関連している。このような結果にもかかわらず、生後6ヶ月から11ヶ月の間の牛乳を与えることに関連する栄養と健康結果については、意見が分かれている"として検討されています。
で、"(牛乳による)occult blood lossは非常に軽微であり、それより適切な補完食と動物性ミルクを与えることの方が重要だよ"という結論になっています。
ただ、この時期は乳児用ミルクでも動物性ミルク(煮沸消毒したもの)でもOKだけれども、安全な水が手に入るのであれば乳児用ミルクの方が推奨されるとも書かれていますので、日本では(少なくとも12ヶ月までは)乳児用ミルクを継続、でよいのではないかと思います。

さて、12-23ヶ月については少し解説が必要そうです。
このガイドラインの言葉の定義として、infant fomula(乳児用ミルク)は母乳代替品で、日本の粉ミルク・液体ミルクになります。フォローアップミルクは含みません。で、"12ヶ月間使われる国もあるが、それ以外の国では生後6ヶ月まで使う"ということが書かれておます。要するに、このガイドラインでは、乳児用ミルクを生後12ヶ月以降使うことは考慮されていません
これに対してFollow-up formula(フォローアップミルク)は6-11ヶ月、12-23ヶ月の離乳食の液体部分、要するに食事の時にあげる液体成分です。母乳代替品ではなく、あえて言うとすれば牛乳の代替品となります。そして、フォローアップミルクは製品により組成が大きく異なっていて、製品によってはタンパク質や炭水化物の濃度が高すぎたり、砂糖が添加されていたりというものが欧州小児栄養消化器肝臓学会ESPGHANによって指摘されている旨書かれています。

さて、12-23ヶ月については、動物性ミルクvsフォローアップミルクで比較検討されています。この比較では成長・発達などにほとんど差がみられていませんが、動物性ミルクではビタミンDが低い、鉄分濃度も一般的に不良です。
それならフォローアップミルクでいいやん? 6-11ヶ月は乳児用ミルクも動物性ミルク似たような感じでOKにしたやん? と思うところですが、6-11ヶ月と12-23ヶ月で大きく違う部分があります。摂取できる食事の量です。
12-23ヶ月になると食べることができる食事の量が増えてきます。量が食べられると、その分乳製品や他の動物性食品から必要な栄養を摂取することが可能になりますよね。なので、動物性ミルクが飲めるならそれでいいじゃん、ということで上記の推奨内容になっている、ということになります。


ここからは、私個人の考えになります(上の推奨とは異なります)。
フォローアップミルクは不要というのは同意です。ただ、食事がなかなか進まないお子さんもいらっしゃいます。その場合は動物性ミルク、日本だと牛乳では、やはり鉄やビタミンDは不足する可能性が出てきます。なので、食事がなかなか進まない場合の飲料としては、うーん、乳児用ミルクを12-23ヶ月に使うことは理にかなっているんじゃないかなあと思うところです(いろいろ食べられていない場合、亜鉛なども含めて不足している可能性がと思うので、フォロミより乳児用ミルクの方が適していると考えます)。コスト面も考慮するとフォロミを使う選択肢もあってよいと思います。
ただ、上記の通り、このWHOのガイドラインでは12ヶ月以降の乳児ミルクの使用はそもそも検討されていませんので、あくまでも私の考えになります。ご了承ください。

それと、上記の推奨内容は「飲料」としての検討になっていると思われますので、食材として乳児用ミルクやフォローアップミルクを使うのはまた別問題であろうことも追記しておきます。



出典

https://www.who.int/publications/i/item/9789240081864

https://iris.who.int/handle/10665/373338



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