WHOの新しい補完食ガイドライン 推奨事項③補完食導入の年齢 翻訳と解説

  本当は背景部分を先に書いた方がいいんですが、多分ここを知りたい人が多いと思うので、推奨事項部分から翻訳しておきます。翻訳中には入れていませんが、参考文献の数字が入ってます。(それぞれの推奨事項にはもっと詳しい解説が書かれているのですが、こちらの翻訳はかなり手こずるのでとりあえず概要部分だけ翻訳していきます。と言いつつ、解説部分である程度翻訳してしまっていることに気づきましたが)


翻訳

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推奨事項③

補完食導入年齢

乳児は母乳を与え続けながら、6ヶ月(180日)に補完食を導入すべきです(strong, low certaintyevidence)。


備考

- この推奨は公衆衛生上の推奨であり、補完食の早期導入が有益な乳児がいる可能性も認めています。

- 母乳の適切性が心配な母親には、授乳サポートが有益かもしれません。

- 母乳中の鉄分は生物学的利用能が高いですが、特に早産児や低出生体重児の場合、鉄欠乏症(ID)のリスクがある乳児もいます。 たとえ鉄が強化されているとしても、補完食を早期導入しても、ハイリスク群の鉄欠乏性貧血を十分に予防することはできません。

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解説

180日とか日数で区切るのか、と思ったりしましたが、まあそこは置いておいて。

6ヶ月で導入でよいけれども、それより早くてもメリットがある子もいるよ、と補足されているので、6ヶ月(180日)には始めましょうね、ということでよいかと思います。ちなみに4ヶ月未満での導入には害があることは書かれていますので、どんなに早くても4ヶ月以降ですね。

6ヶ月より前に始めた場合の懸念事項としては4つ挙げられていて「食品や水が衛生的でない環境では消化器疾患(下痢など)のリスクがある」「低資源環境下での、母乳よりも栄養の劣った補完食」「食品を摂取するための発達が不十分」「肥満のリスク」が挙げられています。1つ目に関しては日本では適切に調理すればリスクは低いと思いますが、2つ目以降に関しては日本でも同じかなあ。(母乳より栄養的に優れた濃い補完食を準備しようとすると、あまり低月齢だとかなり大変だと思います。)


逆に6ヶ月を超えて遅れて補完食をスタートする懸念事項も書かれています。継続的な発育・成長に必要な栄養、特に鉄分が母乳中に不十分であること、一部の食物アレルギーの潜在的なリスクの増加が挙げられています。また、補完食の導入が遅れることで、新しい風味や食感の受け入れに影響を与える可能性にも触れられています。

補完食でやっとアレルギーの話が出てきたぜ……。ピーナッツなどの一部のナッツの導入が遅れることで、食物アレルギーを予防するのではなく、逆に促進する(リスクを増加する)可能性があること、牛乳など他の食物にも当てはまる可能性があることが書かれています。

食べ始めるタイミングについては、「支えなしで座ることができる」というのが、消化管、腎臓、免疫系の成熟などの生理学的発達の他の側面と関連しているので、重要な因子であると考えられる、という記載がありますので、やはり早すぎる導入はよろしくないなと思うところです。(ただ、このsit without supportというのがどの程度の「お座り」を指しているのかちょっと確認できなかったので、ひとまず厚労省の授乳離乳の支援ガイドに書かれている「5秒以上座れる」という基準で現在のところは問題ないのではないかと思います)



出典

https://www.who.int/publications/i/item/9789240081864

https://iris.who.int/handle/10665/373338

厚労省


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