WHOの新しい補完食ガイドライン 推奨事項④食事の多様性 翻訳と解説

 本当は背景部分を先に書いた方がいいんですが、多分ここを知りたい人が多いと思うので、推奨事項部分から翻訳しておきます。翻訳中には入れていませんが、参考文献の数字が入ってます。(それぞれの推奨事項にはもっと詳しい解説が書かれているのですが、こちらの翻訳はかなり手こずるのでとりあえず概要部分だけ翻訳していきます。)


翻訳

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推奨事項④

食事の多様性

生後6ヶ月から23ヶ月の乳幼児は、多様な食事を摂取する必要があります。


a. 肉、魚、卵などの動物性食品を毎日摂取する必要があります(確実性の低い強い証拠)。


b. 果物と野菜は毎日摂取する必要があります(強く、確実性の低い証拠)。


c. 特に肉、魚、卵、野菜が食事で制限されている場合には、豆類、ナッツ類、種子類を、頻繁に摂取する必要があります(条件付き、確信度の非常に低い証拠)。


備考

 -動物性食品、果物、野菜、ナッツ類、豆類、種子類は、穀類に比べて全体的に栄養密度が高いため、エネルギー摂取の主要な要素となります。

-でんぷん質の主食は最小限に抑えるべきです。でんぷん質の主食は、特に資源が乏しい環境では、一般的に補完食の大きな部分を占めますが、動物性食品に含まれるものと同質のたんぱく質を摂取できず、鉄、亜鉛、ビタミンB12などの重要な栄養素の供給源にはなりません。また、多くのものには栄養吸収を低下させる抗栄養素を含まれています。

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解説

このあたりも以前の補完食のガイドラインと大きく異なるわけではありません。

食事の多様性が重要であることが強調されています。多様性に欠ける食事では栄養欠乏のリスクを高め、サプリ(栄養補助食品)や強化食品は、食品に含まれる必須栄養素や生理活性物質の一部しか含まれないので、栄養を満たせないよ、ということが書かれています。(使うこと自体の否定という意味ではなく、多様性のある食事が大前提という話と思います)。組み合わせによって他の栄養の吸収をよくしたりする相乗効果もあるよ(ビタミンCがあると非ヘム鉄の吸収率があがる、など)という話も書かれています。

いろいろ書かれてますが、あと卵についてわざわざ記載されてますね。「母乳と並んで、卵は完璧なタンパク源」「グラム当たり、卵は脳の発達に重要な栄養素であるコリンを最も多く含んでいる」など、卵黄を推してきた私としては嬉しい記載になります(が、卵アレルギーがある人にはちょっとしんどい内容かもしれません)

それぞれの食品についての特徴やメリットがいろいろ書かれてますが今回は解説をはぶきます(むちゃくちゃ長くなるので)

でんぷん質の主食に関しては気になるところと思いますが、ちょっと情報取扱注意な部分になるので、もう少し文献読み込んで記載します。主食がいらないという極端な話ではなく、主食ばかりとっていると栄養が不足するので、他の食品を適切に摂る必要があるよ、くらいに理解していてもらえると嬉しいです。

具体的な量や頻度については、それぞれの研究では検討されていますが、今回の推奨事項としては"毎日(daily)"でまとめられています。具体的な研究内容が知りたい方は出典を直接ご確認ください。



出典

https://www.who.int/publications/i/item/9789240081864

https://iris.who.int/handle/10665/373338



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